【アニメ映画感想】映画「名探偵コナン ゼロの執行人」鑑賞二回目以降の好き勝手感想と考察

・2291を投入しようと思います、は風見の発言。
 「一年間ずっと機会を伺っていた」と境子が発言している点から、一年間で行った公安担当の事件(全部負けたもの)については境子が選んだ、または勝敗は関係なく情報だけ流すよう言われたものか?
 →無罪に、と言われたので有罪にしてやろうと思った。ならば有罪と言われたときに無罪を狙う?(ただしそもそも無罪が難しいため、機会=無罪を強要されるまでまっていた可能性もあるので絶対ではない)
 個人的に司法に公安が口を出し、弁護士を使って有罪をもぎとるのは非常にあり得ては成らない最後の砦を汚すことなので、「無罪にしてほしい」はおいといて、この一年間で行った有罪事件については境子が選んだものか、または情報のみを渡すように言われた(司法の勝ち負けは強制されていない)と考えたい。(ただしこれは個人的な感情が強いので考察には足りない、が、その余剰はあると思いたい)

・なぜ境子は何番と聞いたか?
 番号管理が申請したもののままだった場合、羽場が申請した番号をそのまま引き継いで降谷が利用していることになる。この場合境子は「自分が羽場と接触した時から羽場は協力者だったのか?」ということを聞きたかったのではないかという考えだと推測。(もし接触前なら公安への不審はそのままだろうし、接触後ならまだ風見への感情がかわった可能性がある)
 この件に関しては、羽場が「たった二年間でしたが」と日下部に言っているところから、境子よりもあとに採用されていたことが判明している(境子は四年前羽場をあてがわれている為、一年前に死んで二年間なら羽場と日下部の協力体制は三年前にできたと考えるのが妥当だろう)。
 それでも協力者の解放をするのだから、彼らは守秘義務で答えなかったと推測。風見……お前……(顔を覆う)。
 ただしこの推測は番号管理が「一度番号を割り振ったら人が変わっても変更にならない」というケースであり、人が変わったら番号が変わる場合は境子のあの番号へのこだわりが不明になる。個人的には「いつだったか」なのかな、と思っている。

・風見の立場
 協力者は基本的に女性・未成年を避けるものであり、使用する場合はチヨダに報告義務がある。これはゼロの前身だと思われるチヨダ時代にかかれた新書にある文言だ。
 情報は基本変わりゆくもので二十年前だから真偽は不確かだが、実際それが現在もだとした場合、風見は四年前(劇中で明言されていないがコナン時空では年齢がそうかわらないと考え現在三十歳と過程すると)二十六歳であり、この若さで協力者がイレギュラーな存在を選ぶのか、という疑問がある。自分で選んだのかもしれないが、基本的に協力者は(本の言葉を信じるとすると)偶然を装って接触し懐柔していく。この堅物きわまりない男が……いやこの人真顔で嘘つくわ……(内心はどう思っていても)などと戦慄きつつ、そもそも二十二で大学卒業、就職したと過程、半年は警察学校、そこから交番勤務を考えると二十六といっても結構な若さで、彼が選んだのか、羽場の為に彼女を選ぶようになったのか、ただ彼女自身四年前で個人事務所を構えている(=25歳)とすると中々すごい人だなともいえるので、この二人の関係は本当に謎。
 ただ最初は「羽場のために選んだのだろうか」と思ったのだが、そうすると羽場の事件から接触、協力まで時間がかかる。おそらく羽場が日下部に対し「二年間」と言ったのも、あの事件から日下部が羽場の素性を調べクリーンとしたあと偶然を装い接触→協力者になるよう要請するまで約一年程度有したのではと考えられるので、羽場と関係なく境子を選んだ可能性が高い。いや本当、なんで橘さんにしたの風見さん……。
 疑問はあれどどういう理由であれ信念を共通とすることは仕事の内容としても羽場と日下部の関係からも想像に難しくない。だからこそ境子は私の判断、と言ったのだとも思う。それと最後に言う「さよなら」が羽場、と言わないで羽場と風見が映る絵だったことからも、やはりこの二人の協力者として関係も陰の物語として大事だったのだな、とも思う。
 風見は徹底した公安でありプライドもあり、そしてだからこそ協力者にも一線を引くというか、語らないことがあったのだと思う。日下部が羽場の件で公安に直訴に言った、あの死を知った日、公安に向かう日下部とすれ違ってるのだ風見は(右下にあのなじみあるスーツと眼鏡がしれっといた)。風見は風見なりに必死だったのでは、と考えている。
 2291を今回投入しようとしたのは、毛利さんを羽場のようにさせないためだったのではないかとも思った。もしかすると守ることで彼女に前に進んでほしかったのか、あの事件で彼女が傷つき自分もきっと傷ついたとわかりながら同じ信念を有するからこそ大丈夫と思ってしまったのか、はわからない。なんとなく、彼はあの時は信じていたのだと思っている。悩みながらも前に進み選んでいく不器用な人。
 何度も彼が毛利を犯人に仕立てた現状の捜査ではなく「違法捜査」にこだわった理由は明白で、送検後(公安の手があったとはいえ)死んでしまった人を知っているからだと思っている。無実の人間がそうなっては危険だと、きっと思ったのだろう。盗聴器については情報としてだけでなく彼ら家族を思ってだと考えたのかもしれない。不器用……それでも必要なら仕事を選ぶ覚悟とかが好きで、胸を押さえる。なんだおまえは本当。

・ショッピングセンターの時
 この時気になったのは、「風見が降谷に問いかけた、手段を変えることを推奨しただけで情報のやりとりはなかったこと」。会員制業務用スーパー的なものがモデルとなっているようなのと梓さんとの買い出しと言うところから、「降谷を確認できる場所」程度で情報の場所ではないのかも?
 みかけたらああいった距離を保ちながらなら声をかけられるが、それ以外はしていないのかもしれない。ちょうど梓さんが利用している、のもあるが、会員制ならなにかあったとき出入りは絞ることもできるので危険性が薄いのか? 他の時は情報のやりとりがあったこと、また安室透からかけ離れている状況が多かったことから、ここだけ確認ポイントかな、と思いつつまあ妄想にすぎない。
 しかしどっちにしろこれ経費で落ちるのか、買ったとしたらどこに持ち込むんだ。自分で消費するのかどうなんだ。最初部署で消費かなとか考えたけれど降谷零と接触できる数少ない人間かつ降谷との電話連絡はしても降谷と部下をかちあわせることがない(純黒の時も犯人と一緒なのに部下と乗り込まなかったので、徹底して降谷と直接あうのは風見のみ、にしている気がする)風見が、降谷が安室としている場所で買い込んだものを理由なく毎回部署に持ち込んだら不審がられるのでは? と考えてしまって、あのカートの中、どうなるんだという謎……結構おおきいぞ、商品。

・盗聴器をしかけられた時
 これ見る度にしんどいのだが、情報が命に関わるのを明白に知ってるんだよね。先にわかっていれば防げたかもしれない。しかもこのあと彼は公安を狙っての犯罪とも知るし、公安が担当という情報が外にいかなければ死ななかったかもしれない仲間がいる。
 死傷、ってあっさりとした言葉だけれど重い。公安の手柄を、とこだわるのも仲間への手向けであったのかもしれないと思っている。そういうなかで、命に関わるのに自分が盗聴されていたってひどく恐ろしい。ぞっとする。コナンだからよかったけれど、既に人が死んでいて、想像できないわけではない。それでも公安か、は本当大きく胸にきたと思うし、降谷におこられた、ではなく、しかけられた事実にすごくショックを受けるのでは、と思って見る度ぎゅえっとなる。ぎゅえー

・「君の言う安室という男」「降谷さん」
 徹底して降谷さんと言い続け、「安室という男」で安室さんを知らないというスタンスを見せる風見さん。このあたりは「個人責任の原則」にのっとり、なにかあったときに降谷個人で行った組織はしらないことである、というスタンスをみせているのかなと思った。徹底した個人と組織の対比。責任。
 あとこの会話のシーンで気になっているのが、「君にはつい」と言っているもののそもそもその直前に盗聴器が付いていた=自分がしかけた盗聴器も頭に浮かぶはずなので、「降谷が盗聴している」とわかっていながらあの会話をした理由が不明。
 降谷から「協力者に伝えるように」と言われていたのか、盗聴器を通じて降谷を牽制していたのか。こんな子供が、といいながらその子供に仕掛けたのだから失念することはないと思われる。ではあの会話は何のためか。いずれにせよ、映画の中で風見は「おそろしい人」という言葉を必ず降谷が聞ける場所で言っている(二回は褒め言葉(に潜む実感)、一回はこのコナンに対する間接的なネガティブ強めのもの)ので、この言葉は降谷と風見を繋ぐものでもあるのだろうか、と思う。
 公安警察が取り調べした、時に降谷と言っていなかった気がするけれどうろ覚え。降谷についても深くつっこんで語っておらず、「安室という男が人殺し」とするなら状況イコールだが言葉はできる限り選んでいるのだろうか。ちょっとここは言葉選び不確かなのでまた見ないといけない点だ。何度みればいいんだこれ(頭抱え)。
 いやしかしあのシーンがもし安室指示だとしたらあの段階で羽場関係の事件とはわかっていないので理由が不明。コナンに本気を出させるため? はっぱをかけるためならわかる。風見も風見で直前に「公安失格」と言われ盗聴による情報の危険性は頭にあるため、さっきのすぐで漏らしてはいけない情報を語りやすいからというコナン補正があるとはいえ漏らすとは考えにくい。初見では「コナン補正だからか」と思ったが、考えれば考えるほど「これはそもそも盗聴されているし指示があったのでは?」と思う。
 ただなんで呼んだのか風見はわかっていなかったので、くるときにもらった指示ではないと思われる。だとすると事前に「自分の協力者にそのことを説明してほしい」と言われていた? それまでは誰が協力者かわからなかったがコナンの様子で悟った=風見が悟るくらいには食い込んだ状況になったがトリガー?
 降谷さん、貴方の頭を覗かせてほしい(わからない)。

・2291の解放
 協力者の解放と降谷が言ったときは、二人とも犯人がわかっていない状態。コナンが犯人わかった、動機は公安だと言った時に羽場かと言っていた点、そもそも動機が羽場とわかれば日下部(一年前に既に協力者と判明しているため)および境子(事務員関係)と絞り込めたはずなので、知らない振りをしていた説は薄いと考えられる。
 ならばなぜ解放かといえば、そもそもコナンにしかけた盗聴器で境子の様子はわかるだろうし、情報の手渡し、会話をしていても境子の揺れは勘づけたと考えられるからだ。初見は「毛利さんのところから手を引かせる」のだと思ったが、解放で驚いていたこと(普通毛利はもう必要ないと考えられるので驚かない)、最後の「解放」で協力者で無くすという意味の説明は十分されていた。なので事件とは別に、境子は風見の協力者から手を引かせるという方向で話は進んでいたのだと思われる。
 ラストの時に「羽場の生存を知らない風見が居場所を教える」ことができたのは、この「解放」にあたって降谷がおそらく羽場の場所を手向けとしたからではないかと(でないとあの情報を渡す暇はなかった)。羽場の生存を知らない風見に対し境子にこれを渡すよう降谷が指示、なんですかと聞いてもきっと説明がなかったのだと思われる(降谷は風見に教えるつもりがなかったのかもしれない。お前ずっともやもやされたままでいるつもりだったのかお前もお前で大概すぎるわ……)。
 理由のわからない住所と羽場の生存、解放。ここまでそろえば風見も察するし、あの情報を伝えるのは降谷の指示だった(じゃないと風見の性格上守秘義務で教えないだろう)。とすると本当この人たち……公安……。

・小ネタ
 黒田さんの電話相手が「アドレ」だけしかみえなかったんだけれど原作読んでいると推測できるんだろうか……。
 羽場さん、あんた32(書類は31だが死んだ年齢で普通止まるだろうから映画時間では32くらいと推測)なら四年前の段階で一回落ちてももう一度チャレンジ出来るんじゃ無いのか、もうちょっとチャレンジしても良かったのではと思うけれど彼にも彼なりの事情があったんだろうな……そもそもあの段階であの年齢ってそれなりに遅いわけだから焦っていたのかも知れないけれど、裁判官って年齢それなりになってもしかたない難関じゃなかったっけ……詳しくないからこのへん上手く触れられない。熱血漢なのだなとは思いつつ、日下部さんとのやりとりが少し気になる人でもある。ある意味ふたりとも憤りと正義が似ていたのかもなあ。
 あのものすごいカーチェイスが書類上どう処理されたのか、考えるのは野暮だと思うけれど気になります。
 子供達が無邪気可愛かったのと灰原さんがおねーさんかわいかったの、感想で前回入れ忘れたよね。
 コナン君と降谷さんの「死にそうな状況になっても死ぬ気がさらさらない」ところ最高に漢って感じがします。雄々しい。降谷さんは職業柄死を近くに感じていると思うんだけれど、あのヤバい状況で「失敗しない」という成功させてやる執念というか負けず嫌いというか、絶対やりぬく、という形が格好いいなーと思っている。
 風見さんは優秀な部下で頼もしい上司。上司で部下なの最高だと思います。警部補って現場で動くグループのトップ……。好き……。あとやっぱあの信念と言い切る根性好きだ。純黒見た時、この人の言葉遣いの使い分けに惚れ込みもした。こーの努力家ーーー。

 何度みても発見があるし、記述したとおりうっかり忘れていたりしてなんというか何度でも楽しめるのが本当、この「作品」がドツボだったのだなあと思います。DVD欲しい。
 どうでもいいですが風見さんのお声がドツボでその声だけ聞いていたいのでやっぱりDVD欲しいです。なんでこんなはまってしまったのか……。

 前回に引き続きここまで読み切った人がいましたら、ありがとうございました。

(初出:2018/05/12 再掲:2023/01/25)

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