RRR観ました。観る予定はなかったのですが、家族に連れられて見に行った形です。
私はしんどいものが苦手で、見る場合ある程度覚悟がいるため、優しいフォロワーから「バーフバリで楽しめるかどうか事前パッチテストした方がいい」とか言われていたのですが突発だったので覚悟を持っていきました。
暴力が結構強いことと、主人公が人を殺すこと、人権問題などが絡んだ作品ですよ、という注意事項を心に刻んでみた形です。特に人を殺す関係は知っておくと「そういう作風ね」できて助かるので、ありがたかったです。邪道な楽しみ方かもですが、どうしても自分が覚悟が必要で……。
元々、付き合いで見るかと思ったのは、家族があまり映画を好まないし特に実写になると余計で、その家族が見たいなら付き合いでもいいか、という気持ちでした。作品と出会うきっかけって、普通なら見ないものとなら余計大事にしたいので。好きなWEB小説作家さんがふせったーでお書きになられた小説と合わせての伏せネタ呟いていたしみたいなと思ったりもしたので。あと、歌と踊り好きなので。
ミュージカル作品、縁はないんですが以前見た「メリー・ポピンズ リターンズ」がとても好きだったのもあります。それに、民俗音楽系は余計好きですしね。まあなんとかなるだろ感覚です。ただ、ツイッターで言及されているノリってだいたい自分と合致しないから、そこだけは案じていましたけれど。(これについてはツイッターが悪いのではなく、私の感性がどっかおかしいのだろうなあと自覚しています)
姉が見たいと思うきっかけは、ツイッターでみかけた漫画で興味が出たかららしいです。踊りが楽しそう、として、ナートゥのシーンでワクワクして見に言った感じですね。
そうしてお出しされたのがこちら、「RRR」です。
…………。
率直に言うと、めちゃくちゃ重かったです!!! めちゃくちゃ頭使った。コミックス見に行ったら辞書お出しされた感じ。重たいもの脳みそに詰め込まれた。ツイッター、そんなノリになる??? って正直なりました。まあ見える範囲大多数が(というかそれしか見えなかったので大多数どころじゃないんですけど)テンション高いので私がおかしいんだろうな思いますが。思いますが。思いますが重かった……!!
凄く「映画として完成されていて、面白かった(興味深いの意味で)」と思いましたので、作品として好意的感情はあるんですけれど。ツイッターと合致しない。合致しなくて困惑してしまう。ちなみに家族も困惑していました。重かった、よかった、とりあえず身近に一人同じ感情を持った人間がいた……。
ツイッターってまあ言葉が強くなりがちですけど、確か3分に1回は面白いことが起きるってありましたが、そんなあったかな? って気持ちです。作品として退屈という意味ではなく、根っこがひたすら重い。時代背景から当然なんですけれど。
彼らが友情を深めているときの楽し気な歌と演出は美しかったですが、基本的に世界が重い。戦争、差別、無知。「暖炉に飾りたい」でお持ち帰りになるのとかうわ~~~~~ってしました。そうなるのね。えぐい。わからないから絵じゃなくて娘があんなはした金で買われたなんて思ってないんだけど、そもそもあんなはした金が娘の代金なんて思いようがないでしょう。ひどい。殺すなってことかその程度の良識はあるんだね上に立つ人だから、人さらいは良くないけどそこはまだあるのか思ったら殴り殺しに行ったし。嘘でしょ。まじえぐい。ちなみに絶対死んだと思ってた。兄と妹の再会シーンでも明らかにお母さん死んでいるけど言えないみたいな演出だと思っていたんだけど最後の時「お母さん!」って女性に駆け寄って行ったので(顔も多分お母さんだったと思う、日本人ですら見分けつかないので自信はないけど、子供がお母さん言って駆け寄りに行って受けた側が子供名前言ってたらそりゃそうでしょ)多分そうでしょ。めちゃくちゃ騙された。よかったね大団円だね。
そのあと彼が働きに行った場所での姿とかほんと。虎とのバトルとか凄かったけど、ああいう世界観だなって理解したので世界観説明受けた感じです。この世界はこのノリ、OK。ってかんじで、いい絵を見せてもらった感じでしたが「おーーー」ってなってもそのあとがえぐいんよ。差別の世界……。
そうしてそういう世界と一緒に、警察側の彼が描かれるわけでしょう。炎の男、立ち姿めちゃくちゃ格好良かったけど、二人の対比と民衆の現在と、の描き方。反抗する側も抑える側もいるんだよな彼らって、っていうこの……ほんと……。映像がいちいち凄い演出なんだけれど、私が知識として覚えていない歴史苦手マンなせいで物凄く無知を実感させられつつ、どっからどうみてもえぐい。えぐい。対立の背景とかがほんとしんどい。あたまがぐわんぐわんする。
画はね、凄いんですよ本当。日本人ですら見分けがつかないタイプのスライムにもわかりやすいキャラデザ、話づくり。見やすさが詰まっていて、曲芸か??? ってレベルの動きや凄く綺麗な歌声、時々混ざるダンス。数の暴力みたいな人数で圧倒させる演出。凄いと思います。戦闘シーンなんて「戦国BASARAか戦国無双か?」みたいな気持ちになるちぎってはなげちがってはなげ。
でもそれ、ゲームというには結構がっつり暴力らしい暴力だし、場合によっては仲間内で戦っているようなものだし(ラーマは警察側で、粛正することになる)。有名なナートゥのシーンとかそのあたりの友情のやり取りとか歌とかとてもいいなって思うんですけど、めちゃくちゃ砂ぼこりがずっと舞っているような世界で、重いんですよ……えぐ……。
ラーマの愚直な感じのむっつりとしたとこと、対比のようにビームと笑う所とか好きだし。演出の見せ方もはちゃめちゃそれ最終戦手前で手に入るような回復薬じゃんみたいな状態異常無効MPHP回復みたいな薬草とか曲芸のような戦闘とか凄いんですけど。ばっかすか殺す。凄いんですけど、めちゃくちゃこう、ぞっとすることがあるんですよね……。ビームさんが鞭打ちにあったとき(彼、ちょいちょい一番最初の虎を押さえる時のシーンと同じ画が入っていてすごいなあしていました)、彼を武器だというラーマさんとか。妹を助ける青年が革命家になるってことに、私の矮小な価値観はぞっとするんですよ。ぞっとするけど、時代背景からこれは希望なんだとも思う。私の価値観では測ってはいけない、でも、暴力がその裏にある言葉にぞっとして、否定はできない。
ラーマさんの背景とか特にしんどくて。わたしは子どもにそんなことさせるなんて思うし少年兵問題とか考えちゃう。人殺しを育てることを考えちゃう。でもそれって権利をつかみ取るための必要なもので、そう考えられる自分が恵まれているからで、でも少年兵、子供。ってすごくぐるぐるして。えぐい。トラウマだよそれ。英雄とか覚悟じゃないよって思うけれど、これはこの作品だと英雄で覚悟で美しいもので、そして作品だけでなくあちらの国での文化であり誇りであり。
いろんなえぐい時代のものとかをがつがつ思い知ることになる。歌の力を感じる。戦いとしての。立ち上がる、独立運動としての。その中で死んでいく人、切り拓く人、殺す者、争うもの、守るために、立ち上がるために、掴むために。
戦争はいけません、と思ってしまう自分の根本と全く違う、掴むために必要な戦い。自分に覚悟はなく、そのくせ子供のことに胸を痛めてしまう矮小さ。
ひたすらえぐい。必要な暴力は映像としてエンターテイメントになっており、画作りの力を感じるのに。硝煙の匂いが、砂ぼこりが、ずっとそこにある。
無垢にひたすら仲間の為救出しようとしたビームと、村の決意を持って知を持ち武を持ち愚直にあるラーマ。
彼らの友情は好ましくて、でも彼らの目的は違っていて。その演出も好きだったし、色々とまとまってよかったと思っているけれども。どうしても私は頭がぐわぐわしてしまう。ツイッターで見かけるテンションで、笑顔で終えられない。
彼らは大切なものを持ち帰り、武器を手に入れた。これから戦いである。銃を使えなかった人たちが得て、殺すことを選ぶ。子供もきっと殺しに参加する。大団円だ。けれどもこれから血が香る。
それでもわたしは否定できない。だってその戦いの先に、今があるのだ。蹂躙されればいいなんて思わない。戦ってもぎ取った、それらは彼らにとって英雄で誇りだろう。私がどうこうおもってはいけない。時代と、覚悟を思う。
それでも私の根本は、死を厭う。争いを肯定できない。私の価値で測ってはいけない。そうではなくこの作品としてよかったねとできるし、いい作品だったと思えるけれど。でも。
時代がそうだった、と他人事にするには、戦争は今も存在して、難しい問題で。かといって自分が戦えるほどの覚悟も持たなくて。ずっと頭がぐわんぐわんしてしまうのだ。
RRRってSTORYとWIREとWATERなんだ、とか、お互いの炎や水をちょいちょい逆側が得ているような演出とか、派手なパフォーマンス、知と武、曲芸のような凄さとか、無茶苦茶だけれども(あり得ないだろうがあり得る世界、銃弾の数とかそのへんは気にしちゃいけないぜとかそういう世界観で受け入れさせる)世界の伝え方のうまさとか、歌やダンスができて演技までとか役者超人か? とか色々凄かった! ってなる気持ちはあれども、どこもかしこもずっとその争いと差別と独立と暴力で満ちていて、考えても考えても自分の中でうまく落とし込めずに、脳がカロリーを消費した心地である。
ずっとずっと、考えてしまう。
ツイッターで見かけたカロリーの消費はなんか違うんだろうなって思いながら、あ~~~~~~ってしている。凄く難しい作品だった。興味深く、一つの作品として凄かった、と思っている。
思っているけどめちゃくちゃ脳みそ使った……疲労が凄い。
二人の関係性とか演技とか凄く好きだったけど、それはそれとしてなにもかもえぐくて、戦争や差別は存在していて。独立戦争は過去にあって。現在も他国で戦争は存在しており。
エンタメとして消費しきるにはえぐいカロリーの高い作品でした。私の価値観で判断してはいけない、故に余計考えてしまう世界。
ちなみにそれはそれとして、「狼捕まえようとしたり虎を得たのってあの為なの!?」という気持ちと、「も、もふもふ~~~~~~~」と思ってしまった感想を最後に置いておきます。
作品がそういうものと思っていたから別に平気なんだけど、ついもふもふに反応してしまうのは業。
(2023/03/26)