【メイキング】思考の言語化タイムラプスお試し版(題材「カラスの尾羽」)

1.話作り

 さて、では前提条件がそろいましたので書く内容についてまとめておきましょう。まあ、これも前述したとおり決まっているのですが。

起 亜樹と光介が出会う。お互いの友人の付き添い。
承 付き添いのまま友人関係を重ねる。
転 文化祭の終わりに亜樹に告白する女子。動揺した亜樹に光介が思いを告げる
結 十年後、光介の独立に伴い亜樹が自分の気持ちに気づき告白をする

 ざっくりまとめるとこんな形の流れです。ここまで決まっていてかつ単純なのにぜんぜん書けなかったですね本当。なんだかしみじみします。
 前述は物語の起承転結ですが、光介の起承転結もあります。

起 友人の中学受験。他の友人たちと一緒にこっそり応援に向かったとき亜樹がサッカーをしている姿を見る。(迫力がすごい。笑うときらきらしてみえた)
承 友人が一目惚れした女子を口説いて友達と遊ぶくらいならと会うのに付き添い。亜樹と出会うが亜樹は光介を知らない。当時とだいぶ違う印象で気になってしまい側に寄り添う。(あんなに楽しそうだったのに、今は笑っているとやけに薄っぺらく見えるのが気になってしまう)
転 動揺した亜樹に告白をする。返事はいらない。(理解できないことこそ恐怖みたいな動揺になにもできないけれど、でも、きっと拒絶されない程度には親しさを重ねたはずだから。そんなに不理解を苦しまないでほしい)
結 思いを持ちながらも友人関係を続けていた。昔と違いよく笑うようになった、その姿を見られるのが嬉しい。友情がとぎれないことに静かな喜びを持っていたところ、職の転機に告白される。(ありえないと思っていて、あきらめていたけれども思いが消えていたわけじゃないから嬉しいし、なによりそうありたいと願ってくれた、そう願える亜樹に安心もした)

 設定の時と違い光介の起承転結の方が多いですが、0.準備で前述したとおり彼が現実課題を抱えているからですね。亜樹はどちらかというと受け身です。その為主人公は光介、というのは書き易さにもやはり都合がよかったと思うのですが、変えたのが今回なので対応する必要があるでしょう。
 主人公が変わった為、光介の起承転結である起承は亜樹にとっては認知しきれないものとなります。可能なら起の部分は語るイベントをいれたいけれど、可能なら、というあたりでとどめましょうか。プロットを立てる方ならおそらく設定するポイントだと思いますが、こちらについては「内容としては欲しいが絶対ではない」案配程度にとどめておきます。
 個人的にプロットを立てないメリットはここですね。プロットから変わってしまうという言葉を見かけることはあるので、変更があってもおかしくはないと思うんですが……私自身はどうにも「決めたらそこを必ず通過せねば」と思ってしまい自由度が減ってしまうようです。その為私はプロットなしで、「このイベントが入れられたらいいな」「これは必須イベント」を頭の中に留めておきます。これらについては、適当な場所があったらねじ込むくらいで子細は決めません。
 今回の件を題材にするなら「光介が亜樹を初めて見た時が以前だと言う」という行動をするタイミングがあれば、という点ですね。この行動をさせたい理由は「亜樹はどうでもいいとしているようだが、楽しい、という感情や行動はあった」という外的な認識を伝えることです。いい人、ではなく、迫力やきらきらですね。いい人は他人に対する故のいい人であり、その迫力やきらきらしたものは亜樹から出た主観に近いもので、彼女は彼女であるという当たり前の個を、ただ見かけただけの人間が感じ取ったという伝達です。
 その為差し込むタイミングとすればなんらかのネガティブを亜樹が感じているときでしょうか。どうでもいい、というような態度でいる亜樹に対して、世間話程度の色で、でも彼にとっては大事だった思い出を言う。イメージで言うと喫茶店、高所恐怖症の彼女に気づいて、先に降りたタイミングでしょうか。時間軸が昔なので東京タワーでこういうの考えていたんですが……今ならスカイツリーがわかりやすいとは思いつつ、ラインなどがメジャーでない時期を使いたいのでこれ東京タワーか、もしくはどっか高所で見栄えのいい施設を作るか橋かなんかにするかですね。当時の思い出を形にするので、スカイツリーは使わない為そこからなんとかひねりだそうと思います。まあ書くときに決めよう……。
 高いところが苦手なのでは、という予想を特別追求せず、自分の希望で降りるのにつきあわせて、そこで特になにも聞かずにコーヒーを飲む。どうでもいいはずなんですけど、すこし、という彼女に、特に聞き出そうともせずそんなこともあると話して、それからふと思い出したように過去の彼女に触れる――これくらいが丁度いいエピソードだなあと思い浮かべつつ、まあ、タイミングが合ればかなあという程度です。おそらく亜樹がどこまでこぼすかでこの発言をいれられるかどうかがあり、それは無理にねじ込むほどの必要性はないものだとも思うのです。もっとさらっとしていてもいい。告白のシーンでなんでそんなに、という彼女に告げてもいい。でも、そのときは混乱している亜樹にそこまで言葉を重ねない気もします。まあ、おいおいタイミングを見る必要があるエピソードですね。

 基本的に目的をラストに設定しているので、その結末に行くためにどのように右往左往するかは実際書いてみて、というスタンスが自分です。プロットがない、というのはこのあたりですね。書きたいシーンとしては前述するように「亜樹が告白する」という最終目標、そこに行くための「亜樹が告白される」という状況を作ること。そしてその為には、亜樹が光介への信頼を積み重ねる必要がある。その為の大きなキーが「高所恐怖症の亜樹に気づいて光介が彼女を喫茶店に連れて行く」です。光介は基本的に自己主張しない寄り添う型なので、ここで光介が動く、主張を強めることがイベントですね。
 ここまで決まっていますが細かいエピソードは書きながら……といってもある程度イメージは固めないといけません。起は光介と亜樹の出会いで決まっていますが、細かいことはまったく決まってませんね……。ここはある程度に含めなくていいとは思います。どういうシーンからはじまっても書くことかわりませんし。書くときに決めよう。没にしたけどなにかいい感じにできないかなあと未だに悩みつつ、問題は承です。
 とりあえず信頼を寄せるには時間がいるよな、というのが自分の考え方です。光介だって最初は気になる程度だったはずです。喫茶店につれていくまでにどれくらいするか、ですね。
 浮かばないので承を簡単に起承転結にならって四分割してみましょうか。三分割でもいいんですが、急っぽいなーって単純な理由で四です。足りなかったら六くらいにしよう。くらいのざっくりでイメージします。とりあえず四分割した内の三番目は喫茶店です。四の部分に大きな起承転結の転、告白に行く前にゆっくりしたイベントもいれたいなーって感じですね。喫茶店で気になった後すぐ告白じゃなんかこう、単純な気がして……趣味です。
 大きい起承転結の起で出会ってからなんだか静かなひとだなあとなるので承の一番目はまあ無難に再会ですよね。光介側の友人の付き合いとは言え、一緒にいるのはかわいくて美人で最高である亜樹の友人です。あれですね、確か元々光介側の友人は光介含めて三人にしていたと思います。なので二人きりにするならもう一人の友人と話せばいいし、今光介側の友人二人と亜樹の友人一人の三人で話しているからそっちに混ざればいいのになあって亜樹は思う、亜樹もちょいちょい友人に話しかけますし。でも静かなままなので時折礼儀程度に声をかけたりして、ほぼなにも言わないけどぽつりとたまに言葉を返すのに「あ、一応話すんだ」と認識するくらいが一でしょう。二でまた会うものの、この段階は出会って三回目ではなくて、何回かもう会っていて勝手をしっている、くらいですね。なんかおしゃべりしていて、付き添いで、やっぱり静かな光介にそういうひとだなと認識している。いい人、といってなつかれることは多いけれどそういう扱いをするわけでもなくいつづける光介を、特に違和感なく受け入れている、くらいでしょうか。これ、あんまりにもゆっくりでしたら二と三の間にもう二つくらいエピソードあってもいいですね。このへんは思いついたらにしましょう。そもそも二もなにを話すのか決めてないよね。夏祭りとかでもいいような気がするよ(大ざっぱ)。
 ああ、でもこれ今思い出しました。というかわかっていたのに失念していましたが元々一年くらいはぼーっとなんかさせるつもりだったんですね。一年から三年にかけてでもいいんですけど。もっというなら中学二年から高校三年だった気がするな……と思いつつ、この話はすっきりまとめたいなあと思ったので都合上高校のみにしておきます。そこまで長く書くつもりは今はないかな……、という感じですね。
 どこかに文化祭や季節のイベントを混ぜてもいいかな、と思いつつ、まあそんなかんじで三まで書いたら四は三から引き継いで光介がコーヒーを好きになった理由とか、彼の伯父の話をしましょうか。伯父の喫茶店に連れて行っていいと思うんです。そこでもう一度亜樹に対してなんらかのフォローをして、ってすると四で終わらないかもな……五でなんか光介と仲良いね、というような友人からの話にそうかな、ってするくらいのエピソードを混ぜて承としましょうか。このへんはぼんやりです。書きたくなったらエピソードを増やせばいいんだ。
 基本的に必須エピソードさえ押さえていれば、あとは登場人物の説得力や材料が足りていれば次へ、足りなければエピソードを考えるスタイルとなっています。特になにも考えず、中編からせめて文庫本一冊くらいまでの文量で終わればいいなあと希望的観測をしています。……が、既に執筆した「探偵 山田太郎と記録者 横須賀一の物語」や、その続編の「探偵事務所の活動記録」から考えると難しそうだなともぼんやり思っています。探偵事務所の活動記録、短い三っつの事件を一冊分にまとめる分量と思ったんですが、あっさりオーバーしたんですよね……。
 探偵~については探偵記録者シリーズとして執筆したのですが、こちらについては「情報開示型」だった為描写量が普段よりどどんと増えた理由もあります。元々自分が書く話は一エピソード五千文字から六千文字くらいでしょうか。短くて三千文字、長いと一万二千文字くらいのさっくりしたエピソードが多いです。なのでちょっと不安に鳴りつつも、本来の文字数で考えてみます。
 起承転結の内、おそらく転と結は長くないはずです。転が六千から七千文字、結が四千文字前後くらいでしょうか。転と結で、長くても一万二千越えないといいな、と思います。
 起については始まりなので五千文字から一万文字程度でしょうか。彼女についてさほど長いエピソードはいりませんし。出会いでさっくり流す気がするんですよね。
 承については五エピソード予定です。一、二は各五千文字くらい(二と三の間に証エピソードがあればそれらもおそらく各五千文字でしょうか)、三が一万五千文字、四が一万文字、五が五千文字に六があればやはり同数くらいでしょうか。ざっくり考えると承は最低でも四万文字、起承転結の最低値は六万文字弱くらいでしょうか。エピソードが増えると一万五千文字追加ですね。これらはあくまで目安で、自分の全体位置を把握するものです。元々文字数なんて事前にわかるタイプじゃないので……。あと実際に書いてどれくらいかかるかな、もあるので、おそらく起を書いたらまた目測を立てます。
 別に原稿提出するわけでもないのでまったく必要ないんですけどね。全体像の為です。そもそもプロットないんだからただの立ち位置ぼんやり把握用だよ!

タイトルとURLをコピーしました