【メイキング】思考の言語化タイムラプスお試し版(題材「カラスの尾羽」)

(2019年に別所で投稿したものを再掲したものとなっています。)

 書くときの思考の言語化をしよう、と思い立ちました。何度かやっていますが、あれは書いた後の「こうだったよ」という思い返しです。せっかくですし本当に作りながら、どうやって作っているのかメイキングをしてみようと思いました。

 といっても、序盤は既に書いてしまっているのですが。

 ツイートしてあります、こちらが最初に書いた文章です。

 「黒い長い髪の女性」「力が強い」「身軽」「底知れなさ」「無邪気なようで少しずれている」を描写したかったものです。また、「人物描写を動作で描くことでキャラクター性を伝える」を目標にしました。

「翻る長い黒髪は、まるで鞭のようだった」

 この文章については、「とりあえずキャラクタのイメージを伝えるのに黒い髪がしなると身軽な感じがする、見目の描写を動作で演出したい」という考えで選んだものです。
 また、名前を描写しないことでキャラと読み手の距離を少し作っているイメージでした。主人公の名前を早く出すことは好まれそうですが、このちょっとした空白を利用したい意図があります。
 もう一点ここで意図したものがあります。それは「男」という単純な単語に対応して主人公を「女」と表現するのではなく「髪の持ち主」とした点です。この違いで「名前は出さないもののモブではない」ということを暗示しています。
 ちなみにこの時点でタイトルは決まっていません。書き上げた後ツイートするにあたってタイトルをどうしよう、として決めました。翻る黒い髪、が象徴的だったので「烏の尾羽」としました。その後、「カラスの尾羽」と改変しています。
 理由についてですが、単純に見栄えですね。烏《カラス》という文字は好きですが鳥
《トリ》と誤読されやすい字面であること、また尾羽と漢字で書くため「漢字の漢字」だと堅すぎる印象だからです。「探偵 山田太郎と記録者 横須賀一の物語」は堅くていいのですが、こちらは高校生をメイン軸にした恋愛小説のつもりなので開いてあります。
 別の話で「不器用な僕等の話」は漢字となっていますが、これは不器用なぼくらの話」だと語がわかりづらいので開いていません。カラスと違って読みやすいですしね。また最初は「僕ら」でしたが僕等としたのは、前述の語をわかりやすくするためです。「不器用」「僕等」「話」で言葉が出来ていますので、この方がまとまりがいいですよね。僕達でないのは「ぶきような」「ぼくたちの」「はなし」(五、五、三)より「ぶきような」「ぼくらの」「はなし」(五、四、三)の方が心地よかったからです。まあ気分ですね。また、「ぼくたち」だと音数分強調が強くなりそうで、ぼくら、の三音のほうが収まりがよくて「ぼく」「ぼくら」の距離が近い気がして気に入ってるからです。ぼくら、音として好きなんですよねえ。趣味です(結局それでしかない気もしますね)。

 別のタイトルで話がずれました。閑話休題。とりあえずタイトルを決めましたが、しかし走り出すのはやめました。一度立ち止まってしまった感じですね。
 一連の流れを書いた後、気に入ってはいるのですが「ちょっと待てよ」となってしまったのです。そのため書き直そう、と思い、ついでに思考の言語化をしようとしだしたのがこの記事のきっかけです。

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